10月25日(日)に開催された、シェアリングエコノミー「はじめの一歩」セミナーをレポートします。このセミナーでは、シェアリングエコノミーを活用した身近な事例を、①被災者支援、②復興支援、③スキルシェアの3つのテーマに分けて紹介しました。

第1部:被災者支援

ラグビーワールドカップ開催時に熊本県のイベントホームステイのアドバイザーを務め、2019年7月豪雨災害時に熊本のホームシェアホストの皆さんと共に被災者支援サイトを立ち上げて被災者支援コミュニティを作った、株式会社パソナ JOB HUBの川﨑陽子さんにお話を伺いました。

パソナJOB HUBの川﨑陽子さん

2020年7月に九州で大雨被害が起こり、熊本にも甚大な被害がありました。そこで川﨑さんは、イベントホームステイに参加されたホストの中で届出をされて民泊を続けていた方に声をかけて、被災者に民泊のお部屋を提供できないかと相談し、災害のあった翌日に被災者支援のfacebookを立ち上げました。セミナーでは、この被災者支援のコミュニティに参加されているホームシェアホストの皆様から、被災時の体験談やコミュニティづくりに対する思い、今後の夢についてお話がありました。

実際に避難生活を経験されたホームシェアホスト
荒川導信さん・真弓さんのお話

荒川真弓さん(中央)と導信さん(後方右)

「私は被災して家が全壊し、1年の間に車中泊や野宿、一時避難所、親戚の家などに点々と移動した経験があります。一時避難場所では、周囲の方の話し声やいびき、子供の泣き声でなどが聞こえる中で、心が折れた時がありました。食材や物資の仕分け、トイレにも困り、お風呂は長い行列ができ、洗濯も1日がかりという時期もありました」

熊本地震の際に被災者やボランティアを支援した
吉川香寿美さんのお話

吉川香寿美さん(前方右)

「熊本地震のとき、たくさんのボランティアの方がこられた中で一番印象に残っているのが、フランス在住の日本人の女性です。たった一人で10日間ボランティアに参加し、気温が37度ある真夏の日にも屋根の上で作業して疲れて帰って来ていたので、帰宅後ほっとできるようにしっかり準備をしました。この時は私自身も被災していて、たくさんの被災者の方から『泊まれますか?』と問い合わせが来ていましたが、迎い入れることができず悔しい思いをしました。今はコミュニティを立ち上げたことによって、自宅が満室でもコミュニティ内の民泊施設につなぐことができるようになりました」

ご近所とのコミュニティも大切にしていきたいという
ピダーソン スタンさん・広美さんのお話

ピダーソン 広美さん(前方右)とスタンさん(後方左)

民泊をしてとても良かったのは、人との交流ができたことです。場所の提供だけでなく、人の気持ちや会話、文化を紹介し合い体験を一緒に楽しむということができるのが良さだと思います。被災した方に場所を提供できれば、災害にあった翌日から暖かい布団もあるし、洗濯もできる。そして周囲のコミュニティがその人たちのことを把握していれば、心配事を取り除いてあげられることもできます。民泊をはじめたものの、今はコロナウイルスの影響でお客さんはゼロですが、『コロナや災害が続いている今こそ近所の人と交流したほうが良いのではないか』と思いました。うちの近所はご高齢の方がとても多いので、例えば何か災害があって不安な時に、『それなら家に来て安心しましょう』と言えるようになったら良いなと思います。そして今の夢は、再び海外からの宿泊者が戻ってきたときに、ご近所さんもホストとして交流してもらえるようになることです」

Airbnbの仕組みと実績について

次に、このようなホームシェアホストの方を支えるプラットフォーマー、Airbnb Japan株式会社  公共政策本部長 山本美香さんにお話を聞きました。

Airbnbは2008年に創業した宿泊したい人と宿泊に来て欲しい人をつなぐサービスです。今回は、創業のきっかけとなるエピソードやAirbnbの仕組みと特徴、イベントホームステイの支援の実績などをお話いただきました。また、新型コロナウイルスに対応した新しい清掃スタンダードを導入していることや、災害時などの有事の際のAirbnb活用事例なども紹介しています。

▼第1部:被災者支援の動画はこちらからご覧いただけます

第2部:復興支援

次に、シェアリングエコノミーの「お金のシェア」に関して、株式会社CAMPFIRE竹内一平さんFAAVO千葉幕張 上原一紀さんに、クラウドファンディングを利用した、被災地などへの地域復興支援の事例についてお話を伺いました。

株式会社CAMPFIRE 竹内一平さんからは、クラウドファンディングの概要のほかに、<テストマーケティング> <プロモーション> <ファンづくり>など、クラウドファンディングで資金調達以外にできることについてのお話がありました。また、復興支援系のクラウドファンディングの事例も具体的に紹介していただきました。

また、千葉でクラウドファンディングに挑戦したい人向けに、千葉エリアに特化したクラウドファンディングサービスのFAAVO千葉幕張 上原さんから、これまでの実績とクラウドファンディングの進め方、サポートメンバー紹介などについてのお話がありました。

▼第2部:復興支援の動画はこちらからご覧いただけます

第3部:スキルシェア

最後は株式会社パソナ JOB HUB 吉川由梨さんから、場所や時間にとらわれず仕事選びができる、ダイレクトマッチングサービスを使ったスキルシェアについてお話を伺いました。スキルシェアの事例や実践している人の生の声や実態について、仕事を受ける上で気をつけることなどをご説明いただき、後半は参加者が実際にJOB HUBに登録しクチコミ入力のお仕事にトライする、お仕事体験の時間もありました。

▼第3部:スキルシェアの動画はこちらからご覧いただけます